ナラション理論

翻訳:D. ストリューヴ「源氏を訳す」を訳す;)

日仏翻訳交流の過去と未来: 来るべき文芸共和国に向けてテオリックなものになりますが、ダニエル・ストリューヴ先生の「『源氏』を訳す」(『日仏翻訳交流の過去と未来』大修館書店刊収録)の翻訳を担当させていただきました。
ストリューヴ先生は、現在のフランス、パリ大を代表する日本古典文学の第一人者のひとりで、ご専門は近世文学。以前、フランス語からの翻訳について質問したところ、
現代語だとどうなるかはともかくとして…とどんどん日本語の古文に訳されてしまい、目を丸くした、ということもありましたが(笑)
今回この翻訳を僕に任せてくださったのは、何にもましてまず、先生のご厚意から、ということができます。というのは、高名な日本のフランス文学者に依頼することももちろんできたはずですし、それどころか、ご自分で訳すことだって、当然できたはずだからです(笑)
ひとつには、ここで先生が読者に紹介し、かつ議論の出発点としている、中山眞彦物語理論をストリューヴ先生にご紹介したのが、たまたま僕の研究発表だった、ということがあったと思います。
…一方、理にかなっている点もひとつ挙げるとすれば、ここで議論の基礎になっている全てのナレーション理論が、 続きを読む

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恐ろしく高度で、瀟洒。洗練の極致を示す、夢、または寓話。ため息。

modiano20142014年ノーベル文学賞受賞にともない、モディアノ最新刊 Pour que tu ne te perdes pas dans le quartier が関係者に配布されており、僕も読んでみました。
まず、モディアノ文学がまた新たなレヴェルに到達した、ということがいえると思います。非常に完成度の高かった『失われた時のカフェで』に続いた、L’horizon (2010)、L’herbe des nuits (2012)この2作はやはりやや実験的で、跳躍への準備でもあった、ということが回顧的には判ります。
日本語に訳す、というようなことさえ考えなければ(笑)、それこそフランス人読者であれば、だいじに読んで二晩、というところでしょうか。再び三人称を採用したこともあり、とくに前半はまたがくんとリーダビリティが上がっている、いつものミステリ・タッチが、殆んどほんとのミステリ小説のよう(笑)
より客観的で、ゆえに非常に読みやすい、というしかない、見事な仕上がりになっています。
後半に至って遂に 続きを読む

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オフィシャルTumblr 更新情報;)

tumblr基本的にはこちらでは更新情報は流していないのですが、オフィシャルTumblrページ、a perfect day for gingham check ご存じですか?
twitterfbとほぼ同時にスタート、すでに4年目を迎える、という歴史を誇っております(笑)

現在、ご覧のページのサイトレイアウトでは、たとえば右上のソーシャルメディアのアイコンから、グレーのtをクリックしていただけるとジャンプする、という、通常はごく控えめなリンク状況なのですが;)
今回のポストはとくにナレーション理論、近況報告、ウェッブ掲載原稿へのリンク、と盛りだくさんですので、ぜひご覧下さい;) 続きを読む

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自由間接話法とは何か?—かたちと機能、和訳からの観点

巻末併録の「『失われた時のカフェで』とパトリック・モディアノの世界」でもページを割いてお断りしたように、『失われた時のカフェで』は自由間接話法の訳出に独自の工夫をしました。巻末解説、ということで、あまりテクニックなことは説明できなかったということもありますし、またそれ以上に、そもそも自由間接話法とは何なのか?(笑)

パリのエスカレーター英語やフランス、ドイツ、欧米文学を勉強した、という人以外、名前はきいたことがあっても具体的に何のことかまではあまり考えたことがないかもしれません…;)

そこで、今回は「自由間接話法とは何なのか?」ということで、大雑把なところをざくざくっと、しかし“現時点において”あまり大きな間違いのないところで、かつだれにでも納得できるように書いてみたい、と思います。
…目標としては、すぐ以下で見るとおり、これはけっこう高い、ともいえます;) 続きを読む

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