さて、こちらの連載『モディアノ翻訳計画』も、いよいよ佳境に…!?(笑)ということで、日本ではなぜかまったく翻訳されていない、モディアノ、中期の傑作を見てみたい、と思います;)
…確かにLa place de l’étoile は峻烈なデビュー作だし、フランスを代表する新人文学賞・ゴンクール賞に輝いたRue des boutiques obscures は重要な作品でしょう。邦訳のあるこの後者は日本でもモディアノ・ファンにはとくによく読まれている作品だろうと思います。
(『失われた時のカフェで』併録「『失われた時のカフェで』とパトリック・モディアノの世界」でもご紹介したとおり、韓国ドラマ『冬のソナタ』との関連もありますし…;)
しかし、フランスでモディアノの代表作、といえばむしろ90年前後の長篇小説、モディアノが所謂『注目の新鋭』から押しも押されもせぬ重要な作家へ…と移り変わったこのVestiaire de l’enfance そしてそれにつづくVoyage de noces…このあたりがやはり真っ先に挙げられるところ、いちばん定評のある作品ではないか、と思います。今回ご紹介/検討してみたいのは、その問題の日本未訳の傑作、Vestiaire de l’enfance です;) 続きを読む