さて、お待たせしました、『モディアノ翻訳計画』;)次に見てみたいのは、1999年の作品集、Des inconnues です。
今回の新刊『失われた時のカフェで』を僕が訳してみよう!と遂に決意したにあたっては、そういうわけで、さまざまな理由があったのですが(笑)そのうちのひとつが、ヒロイン・ルキのナラション(語り)の魅力、でした。
僕は小説家としてのキャリアは既に比較的長いわりに、なにしろ非常に慎重ですので(笑)まだまだトライしていないことがたくさんあります。女性の、所謂“一人称のナラション”も然り、です;)——日本語の場合は今日もなお“女ことば”というものもあって、これは日常的に自分ではまったく使わないランガージュですから、これを作品のナラションの中心にする、というのは当然なかなかチャレンジングなわけです。(しかし、僕は最初から所謂“標準語”で小説を書いていますから、自分の日常的なことば遣いと小説のランガージュを最初から意図的に分離してきた、ともいえるのですが。。。;) 続きを読む