パトリック・モディアノ

モディアノ翻訳計画*Des inconnues『見知らぬ彼女たち』

さて、お待たせしました、『モディアノ翻訳計画』;)次に見てみたいのは、1999年の作品集、Des inconnues です。

パトリック・モディアノ今回の新刊『失われた時のカフェで』を僕が訳してみよう!と遂に決意したにあたっては、そういうわけで、さまざまな理由があったのですが(笑)そのうちのひとつが、ヒロイン・ルキのナラション(語り)の魅力、でした。

僕は小説家としてのキャリアは既に比較的長いわりに、なにしろ非常に慎重ですので(笑)まだまだトライしていないことがたくさんあります。女性の、所謂“一人称のナラション”も然り、です;)——日本語の場合は今日もなお“女ことば”というものもあって、これは日常的に自分ではまったく使わないランガージュですから、これを作品のナラションの中心にする、というのは当然なかなかチャレンジングなわけです。(しかし、僕は最初から所謂“標準語”で小説を書いていますから、自分の日常的なことば遣いと小説のランガージュを最初から意図的に分離してきた、ともいえるのですが。。。;) 続きを読む

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モディアノ翻訳計画*Accident nocturne

今回の新刊『失われた時のカフェで』には50ページの書き下ろし解説が付いています。力作です(笑)この解説を書くために、結局ずいぶんたくさんモディアノの旧作を買い込んでしまいました。

Twitterのほうには何度か書いてきましたが、それで、せっかくなのでその各書をじっくり読んでみました。ポイントは「この作品を僕は訳せるか、僕が訳すとしたらどうなのか…」(笑)さらにいうなら、「モディアノ翻訳第二作に最適なものは?」…これです。もちろんモディアノに見所のない作品はありませんから、ひとつを選ぶ、というのは難しい。また本国とは違い、まだまだ日本の読者に親しみのないこの巨匠の世界を紹介するには…というようなことも考えます。

というわけで、まず見てみたいのが2003年のAccident nocturne。これは僕がモディアノの翻訳を考えた時点での彼の最新作『失われた時のカフェで』に対して、純然たるフィクション、romanとしては前作、ということになります。じつは『失われた時のカフェで』でなければこちらにするか…と当初から検討した作品でもありました。

さて、僕が訳すとしたら…ですが(笑)訳題は 続きを読む

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PariSnap!*メトロのモディアノ

今日、RERに乗ってみると、あれ、どこかで見たことのあるような文章が… 近づいてみるとやっぱりモディアノ、1984年の忘れがたい佳作、Quartier perduからの引用でした。RATP(パリ市交通局?)とパリ市合同の、パリへのオマージュがテーマの広告でした。

Modiano dans le metro僕が翻訳をほんとにやってみよう、ついてはモディアノを訳してみよう、と思ったのには(例によって・笑)たくさんの理由があります。
しかし、そのうちのひとつは、モディアノくらい現代のパリを見事に描く作家はいない、と思ったから、です。何年もパリに住みましたから、僕もパリについて書いてみたい。けれどどう考えたってモディアノのパリに太刀打ちできるわけはない(笑)だったら現代のパリを描いて右に出るもののないこの名匠の作品をまず訳そう、そして勉強させて貰おう、と思ったということが実はひとつ、ありました。 続きを読む

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新刊『失われた時のカフェで』*コメントもどうぞ:)

『新刊『失われた時のカフェで』、アマゾンでの発送が開始された模様です。http://bit.ly/guzTzK 全般的なコメント・ページはこちらですが、とくにこの作品についてのコメントはこちらの↓↓コメント欄↓↓にもお寄せ下さい。(メールアドレスを登録して、ログインしてください。非公開希望の方はWhisperをチェック、To yuichihiranaka として下さい)

…ほんとうに久々の新刊となりました。爽やかな初夏の光と風に包まれて、原著者・モディアノ氏の至芸と、僕の苦心惨憺を(笑)リラックスして楽しんでください;) 続きを読む

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