ソーシャルメディアではお伝えしていますが、ひさびさにニュースレターを再開してみようかな、と思います。
やや時代に逆行するようでもありますが、最初の挨拶にも書いておいたとおり、ソーシャルメディアはもう、アルゴリズム負けして、何を書いても埋もれちゃうので(笑)
まずは試験送信から、ですが、こちらより、登録しておいて下さい。よろしくお願いします。
本当に久々の単著を含む、新刊2冊:『「細雪」の詩学』と『シティポップ短篇集』。
おかげさまで、その後さまざまな反響をいただき、ソーシャルメディア(現在fbがオフィシャル、tw、instagramはプライヴェイト、threadsはNewJeans中心;)ではその都度お知らせしてきましたが、
ソーシャルメディアはアルゴリズム依存で、フォローしていても流れない、という謎の権力支配に(ご存知の通り;)近年、さらされておりますので(笑)
表示されなかったポストもあるかと思います。
そこで改めて、前回のフォローアップ以降にいただいた、いずれもありがたい反響の中でも、特に充実したものを精選し、こちらにまとめておこうと思います;)
見落としていた、読み忘れていた、という記事やポストがもしあれば、ぜひこの機会に、こちらのリンクからチェックしてみてください!
出版直後、前回フォローアップの5月の時点では、簡単に読めない大部の『「細雪」の詩学』についても、徐々にご紹介、書評をいただきましたので、そちらから紹介すると、まず:
図書新聞(3642号)『細雪』と「二〇世紀世界文学」との間に回路を開く極めて野心的な試み――ナラトロジーの視角から『細雪』を精緻に解読 中山弘明(徳島文理大学)
この書評は、パリ大の博士課程での研究が本体となっている僕の論文を、日本の国文学研究からはどう接続できるか、という観点で、非常に前向きに論じていただいて、大変ありがたかったものです。
(たとえば、時枝文法との関連性の問題など、もちろん意識はしてるのですが、到底今回の博論枠組みの中では取り上げることができなかった、いいたくてもいえなかった、そのあたりもさくっと書いていただき、ほんとにありがたかったです)
次に『「細雪」の詩学』が出版直前の郷原先生のツィート以来、amazonでも少し注目されたのは、
若島正・評 『「細雪」の詩学 比較ナラティヴ理論の試み』=平中悠一・著
こちらの書評が毎日新聞に掲載された時で、これも、たいへん驚いたというか、こういっては大変失礼かと思いますが、あの大部の、盛りだくさんの論文を、こんなに簡単にまとめることができる人がいるんだ…と、つくづく感服いたしました。
理論的な要点がもれなく押さえられているだけでなく、読みどころや、理論、論文という枠を超え、この本を通して僕が伝えたかったメッセージの部分まで十分に紹介して下さっています。
さらに、研究者にもまだまだ知られているとはいいがたいアン・バンフィールドの理論の重要性、面白さについてもひと押しして下さっており、まさに圧巻というほかない、見事な原稿になっています。
#若島正 さん評『「細雪」の詩学 比較ナラティヴ理論の試み』(#平中悠一 著・田畑書店)
<まだ十代の頃に一九八四年度の文藝賞を受賞してデビューした作家の平中悠一が、谷崎潤一郎の『細雪(ささめゆき)』をナラティヴ理論の枠組みで論じる学術書を出……>#毎日新聞https://t.co/x4UT8ii9Jr— 毎日新聞「今週の本棚」 (@mainichi_books) June 22, 2024
こちらは毎日新聞6月22日朝刊に掲載されています。
ネットでも読めますが、新聞は図書館でもバックナンバーが読めると思います。
= 追記 =
この若島正さんの書評が現在はこちらのサイトに掲載されています。→
『「細雪」の詩学: 比較ナラティヴ理論の試み』(田畑書店) – 著者:平中 悠一 – 若島 正による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS *9月7日2024現在
とにかく抜群の鮮やかなレジュメとなっているので、ぜひ一度読んでみてください。
僕が自分で説明するより、はるかに見事にまとまっています;)
最初の図書新聞3642号は6月8日号だと思います。特に国文、国語科の人にもぜひぜひ読んでいただきたいのですが、図書新聞はすべての図書館には置いていないようなので、事前に確認してみて下さい。
…でも、電車に乗って行く場合、ネットで読んだほうがむしろリーズナブルかもしれません(外気温も灼熱化していますし・笑)
上の毎日新聞の書評でも言及していただいた部分で、
これは東大の公開審査でも山田広昭先生が面白かった部分として挙げて下さって、
僕としては、(こういうことも考えられますよ)という()入りの一例、くらいのつもりだったのですが、
こちらのツィートも、そこを紹介して下さいました(画像付き):
平中悠一『「細雪」の詩学』(田畑書店)を、新鮮な驚きとともに読み進めています。オリエンタルホテルでの雪子の見合いの場面、ナラター(小説の語り手)、そこにいるのか!(312頁。五十嵐の表情と俯向く雪子の横顔を同時に見るには、五十嵐の左手側の方が都合がいい気もするけれど……人文書担当) pic.twitter.com/Fa2udwLjYf
— 東京堂書店@神保町 (@books_tokyodo) May 14, 2024
他にもこの方からは考えさせられるツィートをいただいて、大変ありがたかったので、神保町に行った際、少しお話してきました。
今回の『「細雪」の詩学』の装丁は、実はジュネットが人文書の棚に置かれていた記憶が念頭にあったため、うっかり人文書の棚に置かれるつもりで考えて、こういう風にしましたが、
実際には作家論の棚に置かれてしまい、相対的に主張の弱い、目立たない表紙になってしまいました(笑)
なるほど、タイトルに「細雪」と入れたからこうなったんだろうな、むしろサブタイトルの「比較ナラティヴ理論の試み」の方をタイトルにしたほうがよかったかもしれない、などと思っていたのですが、その話をすると、いや、「細雪」は「細雪」のファンがいるし、谷崎にも谷崎のファンがいるので、このほうがよかったんじゃないですか、というお返事でした。
僕なんかでも普通に話せる感じの方で驚いた、というか、まぁツィートを見て判っていたことなので、改めて驚くこともないのですが(笑)他にもいくつか面白いお話を伺いました(ありがとうございます。お仕事中お邪魔しました)。
そういう意味で(?)『「細雪」の詩学』については、理論書としてではなく、谷崎、特に「細雪」のモノグラフィーとして読むことももちろんできるわけで、理論には興味がないけど、谷崎文学や「細雪」は好き、という人のために、その角度からの紹介のポストを書いておきました:
「細雪」論としての読みどころを紹介しつつ、最後に少しだけ、バンフィールド理論から派生する新しい理論観も示唆しておきました;)
threadsでの紹介ポストを貼っておきますが、表紙画像をクリックするとthreadsにまず行ってしまうので、link.medium.com/z3wVg8XGoLbから、読みに行って下さい。
投稿者: @yuichihiranakaThreadsで見る
…なにしろ大部の1冊ですが、『「細雪』の詩学』。この夏休みの読書にしていただけると大変幸いです。
発行部数も超・極・僅少ですので(笑)ぜひ入手可能なうちに、ともかく1冊…お手元に確保しておいて下さい。
次にもう1冊、『シティポップ短篇集』の方ですが。
まず、これも大変ありがたい書評を東京新聞に寄稿していただきました:
<書評>『シティポップ短篇集』平中悠一 編著2024年6月2日 07時00分 ◆豊かさへの憧れと孤独 [評]佐谷眞木人(恵泉女学園大学教授)
<書評>『シティポップ短篇集』平中悠一 編著https://t.co/littkOAXVG
— 東京新聞(TOKYO Web) (@tokyo_shimbun) June 1, 2024
『シティポップ短篇集』のほうがamazonで、今回、わりと一番注目されたのが、この書評の掲載の後でしたが、
版元からのtipでは、この書評を書いて下さった方は、amazonに最初にびっくりするくらいこちらの意図を汲んだレヴューを書いて下さった方でもあるらしく(内部の誰かが書いたのでは?と思ったほどです;)そちらについても大変感謝しております。
このアンソロジーについては、短篇小説集で、面白い面白くない、といった感覚的な評価以外成り立たない、というのが現在の日本の文学の状況でしょう。
80年代こういう作品群があった、ということをひとつかたちにできたのは成果だったと思いますが、
あとは自由に楽しんでいただければ、それでいいと思います。
photo via twitter.com/infotabata1968
そういう意味で、こちらの西宮のFMで『シティポップ短篇集』を紹介してくださったのも大変嬉しかったです:
【コーナーアーカイブ】#本棚に音楽を 2024年5月9日 『#シティポップ短篇集』編者: #平中悠一 #cafeさくら通り木曜日 #安來茉美 #シティポップ
僕も昔はFM大阪やKiss FM神戸でDJをしていましたが、あれはそもそもプロデューサーが、高校生の女のコたちに、身近な感じ、近所のふつうの大学生のお兄さんが友だちとして話す感じでいいから…ということで、僕を起用してくれたもので(笑)
いわば、素人っぽいところがミソだったわけです。それをプロのスタッフに囲まれて放送局のスタジオから流すと、ちゃんとした番組になりましたが、最近マイク1本でポッドキャストに挑戦してみると、まったくボロボロであることを痛感しました(笑)
その点、この西宮のFMの番組を聴いて、やっぱり基礎ができてる人はすごいなぁ…とほんとに思いました。
僕ももうちょっと正式に勉強すればよかったな、と思います;)
『シティポップ短篇集』については、そういうわけで、こういうアンソロジーを残せた、ということ以外、客観的な評価は難しく、なかなか紹介のポストも巧く書けなかったのですが、
後に紹介するインタヴューでNewJeansの話をたくさんしたことを契機に(笑)
そこを糸口に、主に音楽のシティポップの話から、80年代日本の都会短篇小説の話へ広げるかたちのポストを書くことができました:
NewJeans ハニの『青い珊瑚礁』、松田聖子の『青い珊瑚礁』。「シティポップ」の遠い夢。
↑↑のfbポストではこう紹介していますが、後半に『シティポップ短篇集』に関する話題が入っています。
英語圏からいただいたレヴューの紹介と、僕自身の、このアンソロジーに対する評価など。
日本ではMediumを使ってる人は少ないと思うけど、もしいらしたら、medium.com/@yuichihiranaka ぜひフォローしておいてください!
さて、最後に紹介したいのが、こちらのインタヴュー:
NewJeans、『Olive』、『シティポップ短篇集』──小説家・平中悠一の気づき
NewJeans、『Olive』、『シティポップ短篇集』──小説家・平中悠一の気づきhttps://t.co/ZBKJVs2v2n
特別インタビュー企画「Dig for Enta!」#平中悠一 #NewJeans #Olive #シティポップ短篇集 #細雪の詩学 #logirl@yuichihiranaka pic.twitter.com/68Xi4zsZJP
— logirl【ロガール】 (@LoGiRL2015) June 27, 2024
こちらでは、『シティポップ短篇集』『「細雪」の詩学』だけでなく、Kpopや先ほどのNewJeans、さらには『オリーブ』から『She’s Rain』の話まで、話したこと全部を載せてくれていて、僕としてはほんとにひとつの記念碑的なインタヴューになった、というか、
1989年に行って『ギンガム・チェック』に収録したロング・インタヴュー以来、本当に久しぶりのパーソナル・インタヴューになりました。
『ギンガム・チェック』のインタヴューには、「最初で最後かもしれない」と書いておきましたが、期せずして、最後にはならなかった、ということです…こっちがほんとの最後かも;)
なにしろ、ヴァージニア・ウルフと『オリーブ』と江藤淳とNewJeansが同じ文脈で出てくるのは、間違いなく、世界でここだけ!(笑)
このインタヴューで、初めて僕を知る人は、すごく不思議な、ヘンな人だ、と思うかもしれない、と思うのですが。。
とても面白いと思うので、ぜひ、こちらも読んでみて下さい。
というわけで、だいたいソーシャルメディアの方で気がついて下さっていたものが多いと思いますが、
もし見逃していたというものがあれば。
また、ソーシャルメディアでフォローしてないという人は、どれも特に面白いものだけを選んでいますので、興味を持ったものからどんどん読んでみていただければ…と思います。
もちろん『「細雪』の詩学』『シティポップ短篇集』もよろしくお願いいたします。
それでは、今年も高熱化に拍車がかり、ますます災害化しておりますが、どうぞご無事で、良い夏、良いヴァカンス、そして良いフランスの1年の終わりをお迎え下さい。
また来年、お会いしましょう。Bonnes vacances !