翻訳

モディアノ翻訳計画・番外篇*L’Horizon〜ほんとうの悲しみと幸福を知る、大人のための“ファンタジー”

パトリック・モディアノパトリック・モディアノ紹介ページMODIANO Japonを開設し、当然本国最新刊L’Horizonを紹介しなくては…と表紙を掲載しましたので、モディアノ翻訳計画・番外篇としてこの作品もレヴューしておきます;)

…前置きになりますが、“番外篇”、というのは(前置きの終わり、作品のレヴュー自体はこのあたりから始まりますのでよろしくお願いします;)
2010年春、この作品が出版された時点で、既に『失われた時のカフェで』初訳が相当進んでいた、ということもあったのですが、書店店頭でぱらぱらとページをめくっただけで、《あ、ダメだ。この作品は、訳せない。。。》と思ったからです(笑)

まず、『失われた時のカフェで』(以下、主に『時カフェ』と略。c.f.=>)と同じ、精巧な時間性、テンポラリテの問題があります。 続きを読む

Posted in bibliothèque, ナラション理論, パトリック・モディアノ, モディアノ翻訳計画, 翻訳 |

所謂『一人称/三人称』の小説/ナラション…どうして常に「所謂『 』」付なのか?

『失われた時のカフェで』併録の「『失われた時のカフェで』とパトリック・モディアノの世界」でも、こちらのサイトでも、所謂『一人称/三人称』の小説/ナラション という表現が執拗に(笑)使われていることに気づいた方もいらっしゃるかと思います。どうしてこれが常に「所謂『 』」付なのか。どうして単純にあっさり「一人称/三人称」としないのか(笑)
 これにはふたつ、理由があります。 続きを読む

Posted in glossaire et notes, 『失われた時のカフェで』, ナラション理論, 小説を書く人のために, 翻訳 | Tagged , , , , ,

「モディアノって、だれ??」日本の読者の皆さまへ、パトリック・モディアノをご紹介!新ページ モディアノJapon開設:)

パトリック・モディアノ新刊『失われた時のカフェで』を刊行して、予想はしていたのですが、やはり原著者のパトリック・モディアノ、日本では(もちろんフランスでの大作家としての評価や高い人気と比較した場合、ですが)一部の関係者以外には十分な知名度がないようです。
それで、モディアノの経歴を紹介する記事が改めて必要だ…と思ったのですが、そこをもう一押しして、モディアノのページを作りました。題して、パトリック・モディアノ・ジャポン;)

…翻訳者というのは、多少なりともその国でのその作家のプロモート担当、というところもあるでしょうから(笑)少しがんばってみました;) 続きを読む

Posted in Info, 『失われた時のカフェで』, パトリック・モディアノ, 翻訳 |

モディアノ翻訳計画*Des inconnues『見知らぬ彼女たち』

さて、お待たせしました、『モディアノ翻訳計画』;)次に見てみたいのは、1999年の作品集、Des inconnues です。

パトリック・モディアノ今回の新刊『失われた時のカフェで』を僕が訳してみよう!と遂に決意したにあたっては、そういうわけで、さまざまな理由があったのですが(笑)そのうちのひとつが、ヒロイン・ルキのナラション(語り)の魅力、でした。

僕は小説家としてのキャリアは既に比較的長いわりに、なにしろ非常に慎重ですので(笑)まだまだトライしていないことがたくさんあります。女性の、所謂“一人称のナラション”も然り、です;)——日本語の場合は今日もなお“女ことば”というものもあって、これは日常的に自分ではまったく使わないランガージュですから、これを作品のナラションの中心にする、というのは当然なかなかチャレンジングなわけです。(しかし、僕は最初から所謂“標準語”で小説を書いていますから、自分の日常的なことば遣いと小説のランガージュを最初から意図的に分離してきた、ともいえるのですが。。。;) 続きを読む

Posted in bibliothèque, パトリック・モディアノ, モディアノ翻訳計画, 翻訳 |