年末年始にコツコツ書いたモディアノ関連の原稿から、まずは平凡社「こころ」Vol.23「ようこそモディアノ・ワールドヘ~『失われた時のカフェで』を起点として」;)
この原稿のポイントは、なんといっても全4ページと比較的長さに余裕があったことと、ファッション誌等ではないので、わりとザクザク書けたこと。さらに未訳の原書を取り上げてもいい、ということだったので、基本はモディアノ自体の紹介のため重複する部分も多少はありましたが、それ以上に、『失われた時のカフェで』併録の話題の強力解説;)以来、気になってたことの多くに、足早にでしたがかなり言及できたように思います:)
というわけで、わりと重要な原稿になりましたので、ここにどういう内容が書かれているか、大雑把にアイテマイズしておきます:
- モディアノのノーベル賞受賞が意外だったふたつの理由
- ノーベル文学賞におけるフランス文学の重大性
- モディアノがノーベル賞を受賞した理由
- モディアノの仏・日での受容
- モディアノ文学の特徴(特長)
- “ライヴァル”村上春樹との比較
- 背景としての“政治の季節”(五月革命/全共闘)
- 『失われた時のカフェで』の時代背景の重層性
- ヒロイン・ルキが夜の散歩をするのは“ナチス占領下のパリ”
- 傑作『Voyage de noces』に書かれていること
- 巨匠としての代表作『Voyage de noces』とそのスピンオフ作品『パリの尋ね人』
- 村上龍との比較(おまけ)
- パリのフランス語学校の初級クラスで習う規則からいえば、デビュー作のタイトルを『エトワール広場』と訳すのは“誤訳”
- 『失われた時のカフェで』の特徴(特長)
- モディアノ文学の特徴(特長)2
- 便宜的小道具ではない、本質としての“謎”
- ~ノーベル賞受賞スピーチ(※こちらも参照)
- 自伝『Un pedigree』の魅力と翻訳のレヴェルが問われる点
- “ナラションの現在”・複合過去/単純過去の交代(『Voyage de noces』)
- お得な傑作集『Romans』
- 近作『L’herbe des nuits』『Pour que tu ne te perdes pas dans le quartier』に見られる新たな思索的展開
- 大人vs子ども/戦中世代vs戦後世代の対立を越えて
- 次回翻訳作品について
…えーっと、こう書くと、なんだかものすごく豊富な内容みたいですけど、実際読んでいただいても、ほぼこれと同じことが書いてあります(レジュメたわけですから、まぁ、当然ですが・笑)
エッセイ「ようこそモディアノ・ワールドヘ~『失われた時のカフェで』を起点として」掲載、平凡社「こころ」Vol.23 発売開始、in bookstore now!:)
ルキ、それは美しい謎…。現代フランス文学最高峰にしてベストセラー『失われた時のカフェで』 2014年ノーベル文学賞に輝くパトリック・モディアノ、2007年全仏ベストセラー Dans le café de la jeunesse perdue 日本語版。最新のフランス・モディアノ研究の成果をふまえた、50ページのモディアノ論「パトリック・モディアノと『失われた時のカフェで』の世界」を併録、入門にも好適。 |