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PariSnap!*メトロのモディアノ

今日、RERに乗ってみると、あれ、どこかで見たことのあるような文章が… 近づいてみるとやっぱりモディアノ、1984年の忘れがたい佳作、Quartier perduからの引用でした。RATP(パリ市交通局?)とパリ市合同の、パリへのオマージュがテーマの広告でした。

Modiano dans le metro僕が翻訳をほんとにやってみよう、ついてはモディアノを訳してみよう、と思ったのには(例によって・笑)たくさんの理由があります。
しかし、そのうちのひとつは、モディアノくらい現代のパリを見事に描く作家はいない、と思ったから、です。何年もパリに住みましたから、僕もパリについて書いてみたい。けれどどう考えたってモディアノのパリに太刀打ちできるわけはない(笑)だったら現代のパリを描いて右に出るもののないこの名匠の作品をまず訳そう、そして勉強させて貰おう、と思ったということが実はひとつ、ありました。 続きを読む

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PariSnap!*ヴァンセンヌ〜みずうみのほとりで君の夢を見る…

昨日は最初からどうかしていた。待ち合わせの時間に、1時間も早くいってしまった。こういう時は、ふつうカフェで本でも読んで時間をつぶすといいのだが、ここからなら、少し歩けばヴァンセンヌの森にも行けることを思い出した。僕は森を選んだ。

le lac外周を並足でやってくる子どもたちの乗った馬の行列をやり過ごし、森の中へ入っていった。いい天気で陽射しが明るかった。しばらく散歩したあとで、みずうみのひとつへいってみることにした。

たぶんこっちだ、と小道を歩いていくと、森の向こうに静かな水面が現れた。岸辺のひとつの陽当たりのいいベンチ。上手いぐあいに空いていた。待ち合わせまでは、まだ40分以上。少し本でも読もうかと僕は水辺に腰を下ろした。静かだった。森を渡る鳥の鳴き声、水鳥の水面で立てる音…。 続きを読む

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PariSnap!*13区のちいさな応援

これまでも何度か前を通っていたのに、この週末、ふと見上げてみると、13区の区役所にこんな垂れ幕がかけられていた。

solidarite Japon

Solidarité Japon. 連帯・日本、というような意味だろうか。日本なら「がんばろう!」と書くところだと思うが、フランス語には「がんばろう!」といういい方はない。「がんばってね!」という時には有名な«Bon courage!»といういい方があるけれど、これは«Bonne chance!»、つまり“Good luck!” みたいな感じでも使える。もっと「みんなで一緒にがんばろう!」といいたい時には、«Tous ensemble!» そして「社会の問題とみんなで力を合わせて闘うぞ!一致団結だ!!」といいたい時には、この«Solidarité»。まぁ、なにしろ、社会主義の国なので(笑)だからこれは、「がんばろう!日本」である。彼らが自分たちの問題に取り組む時の合言葉を、そのまま素直に使っているのだと思う。

大統領や首相が日本の悲惨な状況に向けてなにがしかのメッセージを送る、というのはよく判る。外交的な意味もあるだろうし、国内向けの政治的な意図だってあるに違いない。そう思う。

しかし、この垂れ幕をかけていたのは、13区の区役所である。区民のみなさんの日常のお世話をしている一区役所である。そこに日本へのメッセージを掲げることにどんな意味があるというのだろうか? ルーヴルに行き、オルセーに行き、ルイ・ヴィトンに行き、エルメスに行き…パリに行ったことがある!という日本人は多いだろう。だがそのうちのどれだけが13区に行っただろう? 華やかな観光客たちとは何の縁もない。パリの片隅の、ちいさな13区の区役所である。僕には、これは純然たる好意と共感の表れにしか思えなかった。

やはり僕は、あまりにナイーヴにすぎるのだろう…。思いもかけなかったちいさな、けれど大きな応援に、胸の詰まった、イタリア広場の静かな夕暮れだった。

(((( Solidarité Japon! ))))

PariSnap!の更新は5年前から停止中ですが;)いちおうPariSnap!の続きとして今回の写真を掲載しておきます。停止中の過去のPariSnap!はこちらです。
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