…とりあえずCDを中心に、パリにきたから出会えたと思えるものを。2007年に書いたまま放置されていたプレフェースはこちら

『#新譜早耳2020』収録ディスク〜2019年度《早耳大賞》

『#新譜早耳2020』もうダウンロードしていただけたでしょうか?
リリース後に改めてみていて、ふと気づいたのですが、こうして昨年可能な限りのクラシック新譜を聴き、それが一覧になっているわけです。レコード芸術がやっているような、新譜のベスト盤選出もやろうと思えばできるはず(笑)
結果的に、『#新譜早耳2020』にどんなディスクが収められているか、先に知りたい、という人のためにもいいプレヴューになるのでは??;)

そこで各ジャンルごとに、大まかに、上のようなアルバムを選んでみました。ひとつひとつ、個別に見ていくとともに、最後まで迷った捨てがたいディスクも併せて紹介していきます。
選考の基準は、ここまで1年間のクラシック新譜を、ちょっともうお腹いっぱいくらい聴き続けた挙げ句(笑)いま振り返ってみて、なおまだもう1回聴くとしたら? それでもまだ、もう1回聴きたいのはどのディスクか?
つまり《もう1回聴きたい大賞》とでもいうべきもの、と考えてください。
*なお、全曲のストリーミング試聴(PCより無料可)へのリンクは『#新譜早耳2020』に付いています!

まず最初は、《大賞》受賞作;)

『Quasi Morendo~ブラームス:クラリネット五重奏曲、シャリーノ、ペソン』 レト・ビエリ、META4 [室内楽曲部門]

CDが売れなくなっているため、かつてLP時代、クラシック・レコードの王者だった交響曲や、さらにはオペラの録音はめっきり減っていますね。特にスタジオ・セッション録音は、もはや、それだけでも話題になるくらい(笑)
それに代わって爆発的に増大しているのが、室内楽と、器楽曲、あと合唱曲、でしょうか…。どれも低予算で制作できるため、かと思いますが(笑)室内楽の新譜など、切磋琢磨状態なのか、どれもやたらにレヴェルが高い。
中でもブラームスの室内楽は、毎週のようにリリースされており、子どもの頃に聴き過ぎ食傷気味だったのですが(笑)改めて最近の録音で聴いてみると、なにか非常に新しい風のようなものを感じます。できればこのあたりを、別立てでまとめてみたい、と思うほど;)
そこで、ブラームスは別にして(笑)室内楽ジャンルであと捨てがたいなぁ、と思ったのが、

ピアノ五重奏曲、フルート、ハープ、弦楽三重奏のための五重奏曲、『パンの横笛』 オクサリス、ソフィー・カルトハウザー

フランス、ブルターニュのマラン(船乗り)系作曲家;)アジアへの夢とフランス音楽が溶け合う美しい室内楽作品が収録されていますが、より詳しくは『#新譜早耳2020』を御覧ください。この名前を「クラ」と読むか、「クラス」と読むか、はたまた、、という話もそちらでどうぞ!

ついで《銀賞》受賞作;)

スクリャービン:ピアノ作品集 シムクス [器楽曲部門]

ピアノは、好きな楽器なので(笑)興味があるということもあるが、ともかく面白いアルバムが目白押し。知的であったり、新しかったり、技巧がすごかったり、色々あるけど、やっぱりどうしても1枚、というならこのスクリアビン・アルバムの、ひんやりとした、とろけるような美しさがやはり、忘れがたい(笑)
他にもぜひ聴いてほしいアルバムは色々あるけど、特にこのあたり、それぞれコメントしたいところだが長くなるし、そもそもだからこそ『#新譜早耳2020』を読んでもらいたいのでは。。という話もある(笑)
しかし、《とろける美しさ》つながり、ということで、もう1枚だけここに載せておくと:
ラフマニノフ: ショパンの主題による変奏曲 Op.22 ゲオルギス・オソーキンス

そう、このHPのショパン、バラード特集でもかなり推薦していたオーソキンス、待望の(笑)2ndアルバム。いやー、応援したかいもあり(?)『#新譜早耳2020』に書いたとおり、素晴らしい仕上がりとなっています;)

《銅賞》受賞作は、さらにやや趣味に入りますが;)

知られざるフォーレ2 アイヴァー・ボルトン&バーゼル交響楽団、オリヴァー・シュニーダー、他 [管弦楽曲部門]

秘密のフォレ、と題された管弦楽曲集の第2作。タイトルのわりに、フォレ・ファンにはおなじみの曲も多いのですが(笑)
そんなフォレ・ファンに嬉しいのがおそらくこの未完の交響曲のオーケストラ演奏版「管弦楽組曲ヘ長調 Op.20」~アレグロ。後年のフォレ管弦楽作品につながるテイストだけでなく、フランクやブラームスさえ連想させるところがあり、この作曲家名の並びに「むむむ…」と反応する人には、是非とも聴いていただきたい(笑)
オーケストラ曲もシンフォニーについで、やはり制作費がかかるためか、特にスタジオ録音などあまり振るわないのですが、次点として、引き続き趣味に走ってあげるなら:

エレジー 音楽家と大戦 Vol. 34 ピエール・デュムソー トゥーロン歌劇場交響楽団

ここに収められている、再びJean CrasのÂmes d’enfants (子どもの魂)。派手ではないけど、美しい佳曲です。さらに番外として、以上2曲の並びが好きなら、サンドリンヌ・ピオーのアルバム『Si j’ai aimé』にソプラノ自身のリクエストで収められたという歌なしの管弦楽曲、デュパルクの「星たちに」これもぜひ、聴いてみてください。特にこの夏の夜には、ひときわ涼やかな音楽です。。;)

以下、各部門賞ですが、まずは交響曲部門:

シューベルト:交響曲第8番『未完成』、スターバト・マーテル、シューマン:ミサ・サクラ トーマス・ヘンゲルブロック&バルタザール=ノイマン・アンサンブル&合唱団 [交響曲部門]

何度も繰り返してしまいますが(笑)昔日の交響曲絶対王者のクラシック・レコード時代に子ども時代を過ごした者としては、なんとも寂しい昨今の新譜事情。
とはいえクラシック・レコードの超定番がベートーヴェン5番の余白にシューベルトを収めた「運命/未完成」という時代はさすがに知らず、カルロス・クライバーの録音で、初めてシューベルトのシンフォニーを真面目に聴いた、という口なのですが、そういう人にも全然おすすめできるのが、この録音。シューベルト、シューマンの宗教声楽曲の間に挟まれた、いわばおまけ的プラージュですが、意外や意外(笑)いわゆる叙情綿々たる、という演奏ではなく、リリカルでありつつも、ピリオド楽器によると思われる、メリハリのある、鋭く切り込む演奏です。
(シューベルトといえば、あと最近はピアノも面白いアルバムが多いです。昨年は、ヴォロドス盤のoniriqueな演奏が最後に新しい印象を残しました…本来は器楽部門ですが、あそこに入れると他にも色々いろいろあるので、ここに;)
次点としては:

ベートーヴェン:交響曲第3番『英雄』、R.シュトラウス:メタモルフォーゼン エサ=ペッカ・サロネン&シンフォニア・グランジュ・オ・ラック

現代のクラシック界で、ロック・スター・トリートメントを受ける唯一の指揮者(笑)サロネンのエロイカ。もう素晴らしくフォトジェニックな一皿を作るパティシエのよう。その心は。。『#新譜早耳2020』を御覧ください;)

続く協奏曲部門も、同じくアニヴァーサリー・イヤーのB氏作品より;)

ヴァイオリン協奏曲、七重奏曲、他 レオニダス・カヴァコス、バイエルン放送交響楽団、他

そもそもベートーヴェン全作の中でも、ちょっともうベートーヴェンとか聴きたくないよね、そんな体力、ない、ない、無理、無理。。とか思っている時でも結構聴ける(笑)ヴァイオリン・コンチェルト。誰がやってもいい、普通に弾いても全然いい。
(最近小耳に挟んだところでは、アラベラ・美歩・シュタインバッハー(2016)のロンドなんかも、もう全然よかったです、全然普通だけど、正に豊麗な健康美;) ですが、『#新譜早耳2020』にも書いたとおり、インパクトという意味では、これは往年のコパチン空爆盤以来(笑)特に3楽章のカデンツァなんて、目の覚めるよう!:)

次点としては:
ピアノ協奏曲第3番、第1番、ヴォカリーズ、他 ダニール・トリフォノフ、ヤニク・ネゼ=セガン&フィラデルフィア管弦楽団

ラフマニノフ。2番と同様有名な3番はともかく、初演当時大失敗に終わり作曲者を神経衰弱に陥れたという、いわくつきの1番まで、こうも面白おかしく弾かれては、もう、参るしかありません。途方もないテクニック!
あと、*作曲家*サロネンの、マのためのチェロ・コンが、当然現代曲ながら、これもなかなか聴かせどころのある作品で驚きます。詳しくは、『#新譜早耳2020』で;)

コンサートのライヴ録音がオケ主催レーベルからそれでもまだ出るシンフォニーより、さらに寂しいのがオペラ録音、ですが。。。

『レオノーレ』第1稿全曲 ルネ・ヤーコプス&フライブルク・バロック・オーケストラ、マルリス・ペーターセン、M.シュミット、他 [オペラ部門]

これもアニヴァーサリー・イヤーでベートーヴェン。現代に残る唯一のオペラ作品『フィデリオ』の初期の形のレオノーレ。アルヒーフのアニヴァ便乗ガーディナー一括処分ボックス分も聴きましたが(笑)特にこのヤーコプス盤は、当初のモーザルシアンな姿がよくわかり、新鮮でした。

次点は、候補が少なすぎて、逆に迷うところですが。。
『オッフェンバック・コロラトゥーラ 』 ジョディ・ドヴォ、ローラン・カンペローネ&ミュンヘン放送管弦楽団

ベルリオーズ、クララ・シューマンなどと並び、昨年アニヴァーサリーだったということで、何枚も出たオッフェンバック。しかし全曲盤というよりこのように、名曲集のようなものが多かった。新録で、オペラ全曲盤、といえば、グノー『ファウスト』のこれも初期の姿(1859年版)を再現するクリストフ・ルセ&レ・タラン・リリク、ベンジャミン・ベルンハイム、ヴェロニク・ジャンス、他盤があとは推薦できるか。。バンジャマン・ベルナイムは、テナー・フランセ。めちゃくちゃリッス、スムーズで素晴らしいですよ!

一方、声楽部門は結構豊作でしたが、ここも一気に自分の興味で:

マイアベーア宗教作品集 ダリオ・サルヴィ&新プロイセン・フィル
[声楽曲部門]

これも意外な1枚で、グランド・オペラで知られるマイヤベーアの宗教作品集。不意打ちなほど清楚にまとめられた音楽世界に、何かもう少し聴いていたい、またもう少し聴いてみたい、という気持ちが残ります;)
次点としては、迷うのですが、アニヴァーサリーでそれなりに録音の多かったベルリオーズ作品の中から、

レクィエム ジョン・ネルソン&フィルハーモニア管弦楽団、マイケル・スパイアーズ

よりレアな荘厳ミサ曲(エルヴェ・ニケ&ル・コンセール・スピリチュエル)、オラトリオ『キリストの幼時』(アンドルー・デイヴィス&メルボルン交響楽団、アンドルー・ステイプルズ、他)などの録音史的な重要性、ということも考えなくはないのですが、やはりここは、より定番のレクイエムを。すっきりと素直で、この曲の魅力がストレイトに伝わってくる演奏のように思います;)

ついで、音楽史部門、ですが:

エルレバッハ(1657-1714) 6つのソナタ ラシェロン [音楽史部門]

『#新譜早耳2020』の前書きにも書きましたが、音楽史部門なんて、これまでそんなに聴いてたわけじゃなく、知識の蓄積もまだまだ、ですが、そんなものでもどんどん聴いてしまえるのがストリーミング時代♫;)
このアルバムなど、なんの予備知識がなくとも一聴ヴィオラ・ダ・ガンバの音色に魅了される…という人も多いのでは?

次点は、完全な音楽史部門、ではないですが、
『c.1300-c.2000 ルネサンスから現代までのピアノ作品集』 ジェレミー・デンク

タイトル通り、1300年から2000年までの音楽の旅、2枚組の1枚目はバッハ以前の作品で、ピアノ誕生以前の曲も、モダン・ピアノで弾いています。(何だ、結局これも[器楽曲部門]では?の声あり、了解;)
とにかく難しい理屈抜きで、ピアノの音が好きなら、静かで知的な環境音楽としても楽しめるほど。お薦めです;)

『#新譜早耳2020』には[コフレ部門]というのもありました(笑)
いわゆるボックス・セットのことで、多様な曲種が入っており複数のジャンルに紹介したいプラージュ(=トラック)がまたがってる場合のみ、こちらへ振り分けたのですが、フィジックな音楽ディスク落日の今日、最後にこの時代遅れの品物を叩き売りで売り切ろう、というレコード会社の商魂から、何よりも百花繚乱といえるのが実はこのセクション;)
とにかく*宝の山のゴミ箱*的な状態ではありますが、ここも、素直に自分の関心に従い、一刀両断:
ロベール・カサドシュ/コンプリート・コロンビア・アルバム・コレクション(65CD) [コフレ部門]

…1セットだけ貰える、というなら(笑)やっぱりこれかな…;)
思えば、子どもの頃からクラシックのレコードを買うなら、まずDGかLondon(笑)高名なわりにやや過去のプレーヤーでもあり、フランス人だがアメリカのコロンビア経由のカタログの中で見ていた、とまぁ、整理するとそのような事情からか、それほど聴いていなかったということもあり、フランス暮らしを通じさらにこのピアニスト(音楽一家?)の占める位置やスタイル、みたいなことも見えてきている部分もあり…ということで、なかなか興味の尽きないコフレでした。。
他にもこの*宝のゴミ箱の山*(笑)素晴らしくてお得なものが昨年も雪崩のように放出されましたが;)
次点としてもう少し一般的な興味から、オーケストラ&オペラのスタンダードな名演集的に見ても一番*お得*かも…と思うのが、そうです、このジュリーニDGコフレ;)。まさに名演の玉手箱。あとピアノではやはりコロンビア、ホロヴィッツのアウトテイク入り奇跡のカーネギー・ホール・カムバック・コフレ、ヴァイオリンでは一時代前の名プレイヤー、ミルシュタイン・コフレなどを選ぶのもグッド・アイディア、かもしれません。

…如何でしょう。レコード芸術版とは、かなり違ったチョイスになっているのではないでしょうか;)
『#新譜早耳2020』にはこんな感じで、さらに400以上の新譜の名盤が紹介してあります。
全曲にストリーミングへのリンクがあり、パソコンから各曲全曲も無料登録で聴くことができます。
アマゾンの読み放題に登録の方は購入も無料ですので、ぜひ『#新譜早耳2020』、この機会にダウンロードしてみてください!


『クラシック名曲名盤 #新譜早耳2020』
〜全497ツイート/1417枚試聴!!〜

ストリーミング時代の、新しい音楽の聴き方
昨年のクラシック新譜1417タイトルを全部試聴、これは!というトラック497をツイートで紹介、丸ごと一冊に。
だから短い、すぐ読める、
試聴用リンクで全曲無料試聴も可能!
自宅でステイ・セーフしつつ、いちばん新しい時代の風に吹かれてみては?

作品についてのコメントはこちらへ。

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